OM SYSTEM OM-3の機能の中でも、マクロ撮影をする人から特に注目されているのが「深度合成 」です。複数のピント位置で撮影した画像を合成し、通常の一枚撮影では得にくい深い被写界深度を作り出せるため、花や小物などを画面全体をシャープに写したいときに大きな力を発揮します。
しかし、深度合成を「マクロ撮影のための機能」と考えてしまうと、その魅力を十分に活かせません。実はこの機能は風景撮影とも相性がよく、手前に岩や草木を置き、その先に建物や山を配置するような構図でも活用できます。
そこで気になるのが、「普通にF11やF16まで絞ればいいのでは?」という疑問でしょう。深度合成を使う大きな理由は、単純にピントの合う範囲を広げることだけではありません。必要以上に絞り込まず、レンズの解像感を維持しながら深い被写界深度を得られることに意味があります。
深度合成は「絞り込む」のとは違う
風景撮影では、手前から遠景までピントを合わせるために絞りをF11やF16まで絞ることがあります。絞りを小さくすると被写界深度が深くなるため、前景から遠景までピントを合わせやすくなるからです。
ところが、絞れば絞るほど画質が良くなるわけではありません。F値を大きくしすぎると、光が絞り羽根のところで回り込む「回折現象 (小絞りボケ)」が目立ち始め、細かな部分の解像感が低下することがあります。これはレンズそのものの光学性能が突然悪化するというより、絞り込みによって光の回折が増え、画像全体の細部が少し甘く見える現象です。
そこで深度合成の出番です。例えばF5.6~F8程度で手前、中景、遠景へとピント位置を変えながら複数枚撮影すれば、一枚ごとの被写界深度はそれほど深くなくても、合成後は広い範囲にピントが合った画像を作れます。つまり、「F16まで絞って一枚で全部にピントを合わせる」のではなく、「レンズに無理をさせず、ピント位置を分担させる」という考え方です。
OM SYSTEM OM-3
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風景撮影でも深度合成が活躍する
深度合成が特に面白いのは、風景の中に近い被写体を入れたときです。例えば、カメラのすぐ近くに岩や花を配置し、その奥に建物や山並みを入れる構図では、通常の一枚撮影だと手前か遠景のどちらかがぼけてしまうことがあります。
この場合、まず手前にピントを合わせて一枚撮り、続いて少し遠い位置へピントを移して撮影し、最後に遠景へピントを合わせます。OM-3の深度合成では、こうした複数の画像からピントの合った部分を選び、一枚の画像へまとめられます。
OM SYSTEMが公開しているOM-3の作例でも、8-25mm F4 PROを使った風景のフォーカススタッキングが紹介されています。深度合成は広角レンズを使った風景写真でも、前景から遠景まで見せたい場面に有効な撮影方法なのです。
風景での基本設定とブレ対策
実際に風景で深度合成を使うなら、絞りはレンズの解像性能を引き出しやすいF5.6~F8 程度、ISO感度はISO200 などの低感度をベースにするのがおすすめです。
ここで重要になるのが、「三脚」と「シャッタースピード」の役割分担です。
三脚は「カメラのブレ」を防ぐ :ピント位置をずらしながら複数枚撮影するため、カメラの固定は必須です。三脚を使えば1/30秒や1/4秒といった遅いシャッタースピードでもブレず、低ISO感度を維持したまま高画質に撮影できます。
高速シャッターは「被写体の動き」を防ぐ :三脚でカメラを固定しても、風で木の葉や草が揺れると合成時にズレが生じてしまいます。風がある日はISO感度を上げてでも1/125秒や1/500秒といった高速シャッターを使い、被写体の揺れを止める必要があります。
つまり、基本は「三脚+低ISO」でじっくり撮影し、風がある場面では「高速シャッター」で被写体ブレを抑える、と使い分けるのが失敗を防ぐポイントです。
何枚撮ればいい?まずは5~10枚程度から
OM-3の深度合成では、撮影枚数 を3~15枚、フォーカスステップ を1~10の範囲から設定できます。フォーカスステップとは、撮影するたびにピント位置をどの程度移動させるかを決める設定です。
風景なら、最初から15枚すべてを使う必要はありません。手前に岩、中景に木、遠景に山がある程度なら、まず5~10枚程度から試してみるとよいでしょう。前景がカメラにかなり近く、そこから無限遠までピントをつなぎたい場合には、より多くの撮影枚数が必要になることがあります。
フォーカスステップも、大きければ良いというものではありません。ステップを大きくすると少ない枚数で広い範囲をカバーできますが、ピント位置の間隔が広くなります。反対にステップを小さくすればピントの移動が細かくなるため、より丁寧に奥行きをカバーできますが、そのぶん撮影枚数が増えます。
最初は中程度の設定から始めて、完成画像を確認しながら調整するのが現実的です。特にマクロでは被写界深度が極端に浅くなるため、風景より細かなフォーカスステップと多めの撮影枚数が必要になる場合があります。
なお、カメラ内深度合成を行うと、画像を合成・調整する過程で周辺部がわずかに削られ(クロップされ)、画角が少し狭くなります。そのため、構図を決める際は仕上がりよりも一回り余裕を持って、やや広めに撮影フレームを組んでおくのが失敗を防ぐコツです。
OM-3の深度合成におすすめのレンズ
OM-3でカメラ内の深度合成を使うなら、対応レンズを選ぶことが大切です。広角ズームからマクロレンズまで幅広い選択肢があります。主な対応レンズの特徴と用途は以下の通りです。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II :標準ズーム、風景から近接撮影まで幅広く対応
OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II
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M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4 PRO :広角風景で深度合成を活用しやすい
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
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M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro :本格的なマクロ撮影向け
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
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M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro :小物や植物などを手軽に撮影しやすい
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro
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この中でも、最初の一本として使いやすいのは12-40mm F2.8 PRO IIです。標準ズームなので構図を作りやすく、風景では広角側、静物では望遠側というように使い分けられます。すでに所有しているなら、新しいレンズを買わずに深度合成を試せる点も大きなメリットです。
マクロ撮影を中心に考えるなら60mm F2.8 Macroが魅力的です。35mm判換算で120mm相当となるため、被写体との距離を確保しながら小さな被写体を大きく写せます。一方、30mm F3.5 Macroはよりコンパクトで、植物や小物などを気軽に撮影したい場合に向いています。
パナソニック製レンズは使える?
OM-3のカメラ内深度合成を使う場合は、対応するM.ZUIKO DIGITALレンズを選ぶ必要があります。パナソニック製レンズでは、OM-3のカメラ内深度合成は利用できません。
ただし、パナソニック製のM4/3レンズでも、フォーカスブラケットを利用できる場合があります。これは、ピント位置を変えながら複数枚を撮影する機能で、撮影した写真をパソコンなどで後から合成する方法です。
つまり、OM-3で撮影から合成までカメラ内で完結させたいなら、対応するM.ZUIKOレンズを選ぶのが基本です。一方、すでにパナソニック製レンズを持っているなら、フォーカスブラケットを使って同じように複数のピント位置を撮影し、後処理で深度合成する方法があります。
まとめ
OM-3の深度合成は、単にピントの合う範囲を広げる機能ではなく、「絞りを深くする代わりに、ピント位置を変えて複数枚撮影する」という新しい撮影方法です。マクロはもちろん、前景から遠景まで見せたい風景や、細部までシャープに残したい静物撮影にも活用できます。
すでに12-40mm F2.8 PRO IIなどの対応レンズを持っているなら、まずは三脚を使ってF5.6~F8程度から試してみるのがおすすめです。合成による画角の変化(クロップ)を見越して少し広めにフレーミングしつつ、OM-3ならではのコンピュテーショナル撮影を積極的に取り入れてみてください。従来の撮影とは一味違った、隅々までクリアで高精細な写真表現が広がるはずです。
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