新型PENと同時登場した14-42mm III。レンズ構成は同じでも何が進化した?

新型PENと同時登場した14-42mm III。レンズ構成は同じでも何が進化した? レンズ

2026年9月9日、OM SYSTEMから「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III」が発表されました。35mm判換算28-84mm相当をカバーする標準ズームで、同日に発表された新型「OM SYSTEM PEN」と組み合わせるレンズとしても注目されます。

比較対象となる「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II」は2010年に登場した標準ズームレンズで、広角から中望遠までを一本でカバーする扱いやすい焦点域を備えていました。
今回のIIIも14-42mm F3.5-5.6という基本スペックを受け継いでおり、IIからまったく別のレンズへ生まれ変わったわけではありません。

実際に仕様を見比べると、焦点距離や明るさだけでなく、7群8枚・非球面レンズ3枚というレンズ構成まで共通しています。それでは、約16年を経て「III」になったこのレンズは、いったいどこが変わったのでしょうか。詳しく比較していくと、単なる名称変更ではない、撮影の自由度に関わる興味深い改良が見えてきます。

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7群8枚が同じでも、光学設計が同じとは限らない

IIとIIIは、どちらも7群8枚で非球面レンズを3枚使用しています。焦点距離は14-42mm、開放F値はF3.5-5.6で、絞り羽根も7枚です。基本的な数字だけを並べると、旧型の設計をかなり強く引き継いでいるように見えます。

ただし、「7群8枚が同じ」という情報だけで、光学系そのものが完全に同一だとは判断できません。レンズ構成表に表れない曲率や厚み、レンズ同士の間隔、非球面形状などを変更することはできます。ピント合わせの際にレンズ群をどこまで移動させるかというフォーカシングの設定が変わっている可能性もあります。

一方で、IIIについて大幅な高解像化や全面的な新光学設計が明示されているわけでもありません。
そのため、7群8枚という構成が同じだからといって光学系まで完全に同一とは断定できず、逆に大幅な刷新が行われたとも言い切れません。

最大の違いは14mmで13cmまで寄れること

IIIにおける最大の進化は、広角端14mm(換算28mm相当)での近接性能です。旧IIの最短0.25mから0.13m(最大撮影倍率0.26倍/換算0.53倍相当)まで接近できるようになり、レンズ先端を被写体ギリギリまで寄せた撮影が可能です。なお、42mm側(最短0.30m・0.19倍)はIIとほぼ変わらないため、広角側に特化した改良といえます。

離れた位置から背景を整理して被写体を際立たせる90〜100mmクラスの望遠マクロとは異なり、広角接写は被写体に急接近することで遠近感(パース)が大きく強調されます。「被写体を大きく見せつつ、その場の雰囲気も一緒に写し込む」表現が魅力です。

13cmまで寄れることで写りも変わるのか

近接性能の向上に伴い、描写にも変化が生まれている可能性があります。一般にレンズは撮影距離で収差の現れ方が変わるため、13cmまで寄れるようにするにはフォーカス群の可動範囲拡大などの変更が必要ですが、それが近接描写の改善まで考慮された設計かは仕様表だけでは分かりません。

発売後の検証では、まず共通条件である「14mm・25cm」で中央・周辺の解像感を比較し、その上でIII独自の「13cm」の描写を確認するのが効果的です。単に「ピントが合う距離が伸びただけ」なのか、「近接時の写りまで進化しているのか」を見極められるでしょう。

防塵・防滴と深度合成対応、新型PENとの組み合わせで強みが生きる

EVF内蔵や像面位相差AF、防塵・防滴を備えて本格進化した新型PENにおいて、14-42mm IIIはそのポテンシャルを最大限に引き出します。

レンズ側もIPX1相当の防滴・防塵設計となったことでシステム全体での耐候性が確保され、雨天の旅行や屋外スナップなど撮影シーンが大きく広がりました。

そして防塵・防滴と同等に注目したいのが、新型PENの「深度合成」への対応です。13cmまで寄る近接撮影では被写界深度が浅くなり手前から奥までピントを合わせるのが難しくなりますが、カメラ内合成を活用することで、被写体全体をシャープに捉えることが可能になります。

つまり14-42mm IIIは、単に旧型を防塵・防滴化しただけのモデルではありません。新型PENと組み合わせることで、「撮影環境」と「近接表現」の両方を同時に広げられる標準ズームといえます。

OM SYSTEM PEN

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沈胴操作を見直し、日常的な使い勝手も改善

IIIでは、沈胴式ズームの操作方法も変更されています。旧IIでは収納時にUNLOCKスイッチを操作する必要がありましたが、IIIではスイッチ操作が不要になり、ズームリングを回すだけで収納できます。撮影のたびに行う操作だけに、こうした変更はスペック表以上に使い勝手へ影響しそうです。

一方で、ボディーサイズはわずかに大きくなりました。旧IIが最大径56.5mm、全長50mm、112gだったのに対し、IIIは最大径60.0mm、全長50.5mm、125gです。フィルター径も37mmから46mmへ変更されており、新型だからさらに小型軽量化したという方向ではありません。

それでも重量は125gに収まっており、標準ズームとしては十分軽量です。13gの重量増はありますが、沈胴操作が簡略化され、普段の持ち出しや撮影準備はむしろ扱いやすくなっています。IIIは絶対的な小ささを追求するより、携帯性を大きく損なわずに日常的な操作性を整える方向へ改良されたと見るのがよさそうです。

まとめ:基本構成はそのままに、近接性能と実用性を大きく進化

M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 IIIは、焦点距離や明るさ、7群8枚という基本構成を旧IIから引き継ぎながら、14mmで最短13cmまで寄れる近接性能や、防塵・防滴、深度合成への対応によって実用性を大きく高めています。

同時発表された新型PENはもちろん、OM-3やOM-5 Mark IIのような防塵・防滴や深度合成を生かせるボディーとの組み合わせも魅力的です。IIIは従来の14-42mmを別物に作り替えたというより、軽快さを保ちながら、使える場面と撮影表現の幅を広げたモデルと見るのがよさそうです。

OM SYSTEM OM-3

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