PENTAX K-3 IIのリアル・レゾリューション・システム(RRS)で撮影した写真に、動いていた部分だけが赤・緑・青のドットが格子状に炸裂した、サイケデリックな模様として記録されることがあります。
バグでも故障でもありません。RRSという技術の仕組みそのものが生み出す、K-3 IIにしか起きない独特の現象です。
RRSとは──4回の色の積み重ね
RRSはシャッターを4回切る間に、センサーを1画素ずつ正確にずらしながら「1枚目=赤・2枚目=緑・3枚目=青・4枚目=緑」という順番でそれぞれの色情報を記録し、最後に合成します。通常のデジタルカメラは1画素に1色しか記録できませんが、RRSは全画素にRGB全色を100%詰め込むことができます。
完全に静止した被写体では、中判デジタルカメラに迫る超高精細な写真が生まれます。そして4回の撮影中に何かが動いたとき、独特の現象が起きます。
動いた部分だけが「色の地図」になる
4回の撮影中に被写体の一部が動くと、カメラは「ずれた場所の色情報」を強制的に合成します。その結果、動いた部分だけが赤・緑・青のドットが格子状に干渉し合う、サイケデリックなモザイク模様に変貌します。
- 三脚固定された岩や建物 → 息をのむほどの超解像度
- 風でわずかに揺れた葉っぱ → 赤・緑・青が炸裂する虹色のモザイク
通常の写真では「ブレて終わり」の情報が、RRS写真では「どこが動いていたか」を色で可視化した地図として記録されます。撮影現場ではカメラの液晶が小さくて気づけず、帰宅後にパソコンで等倍表示にして初めて全貌がわかる、というのがK-3 IIユーザーあるあるです。
OMシステムのハイレゾモードとは「崩れ方」が根本的に違う
OM SYSTEMの「ハイレゾショット」も同じく複数枚合成技術ですが、動くものへの反応がまったく異なります。OMは「画素位置がずれる=ぼんやりと二重になる」という見慣れた像ブレに近い崩れ方です。
対してK-3 IIのRRSは「色が1画素ずつ別々に記録されるため、動いた瞬間に全く別の色が混入する」という崩れ方です。OMがぼやけるとしたら、RRSは爆発します。この「崩れ方の個性」がK-3 IIのRRSをOMとは別の文脈で語られる理由です。
三脚を立てても「完璧な静止」は難しい
RRSを使うには三脚固定が前提ですが、三脚さえあれば安全というわけではありません。4回のシャッターの間に動くものが写っていれば、どんな些細な動きでも色崩壊が起きます。
- 風でわずかに揺れた木の葉 → 該当部分だけモザイク
- 水面のさざ波 → 水面全体が虹色に
- 遠くを歩く人 → 人のシルエット部分だけ崩壊
- シャッター振動 → ミラーアップ+リモートシャッターで対策
「山の岩場を撮ったら岩はクリアなのに手前の草が全滅」というのはRRS撮影の典型的なパターンです。完全に時間が止まった世界でしか、RRSは100%の実力を発揮できません。
RRSを活かすための撮影条件
現象を理解した上でRRSを使うなら、以下の条件を揃えると超解像の恩恵を受けやすくなります。
- 三脚必須:手持ちではカメラ自体が動くため、ほぼ全面モザイクになる
- リモートシャッター or セルフタイマー:シャッターボタンを押す指の振動がずれを生む
- ミラーアップ撮影:ミラーが跳ね上がるショックを4回目のシャッター前に逃がす
- 無風・無水面:動体ゼロの環境が理想。岩・建物・乾いた砂地が得意
逆に言えば、これだけ条件が厳しいからこそ「完璧にハマったRRS写真」は別格の仕上がりになります。
120MBのファイルが開かれる瞬間
RRSのRAWデータは1枚で120〜130MBになります(通常の約4倍)。4回分の全色情報が丸ごと1ファイルに収められているためです。Lightroomがうなりながら展開し、縮小表示では「なんかザラついてる?」程度なのに、等倍に切り替えた瞬間に神がかりの超解像か虹色のモザイクかが明らかになります。120MBをかけて開いた答えがどちらになるかは、撮影してみるまでわかりません。
この「結果がわかるのは帰宅後」という体験も含めて、RRSはK-3 IIでしか味わえないものです。
現代のカメラではもう体験できない
K-3 IIの後継機(K-1・K-3 Mark IIIなど)では「動体補正機能」が追加され、動いた部分は自動的に通常撮影の1枚に差し替えられます。OM SYSTEMも同様です。
つまりRRSが虹色に炸裂する体験はK-3 IIにしかありません。現代の賢いカメラが自動で問題を消し去る方向に進化する中で、初期RRSが持っていた「制御しきれない面白さ」はすでに過去のものになりました。K-3 IIが中古市場に流通している今が、この独特の現象を体験できる機会です。

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